No.DoB015 糸吐き娘“たむ”
No.DoB015
■カード名
糸吐き娘“たむ”
■カード能力
【近日公開】
■フレーバーテキスト
なし
■バックストーリー
むかしむかし、人里離れた桑山に、薪と炭を売りながら暮らす貧しい炭焼きの若者がおりました。
若者は両親を早くに亡くし、ただひとりで家業を営む日々でした。
ある日、山で薪を集め終えた若者が、日が暮れはじめたので家路につこうと山を下っていると、空にひときわ明るく輝く光を見つけました。
光は流れ星のように山奥の方へ落ちていきます。
それを見た若者は光の行く先へ駆け寄ると、辺りには石のかけらが散らばり、まるで巨岩が砕け散ったようでした。
そこには得体の知れない白く丸まった不思議な塊があり、その裂け目をのぞくと、傷だらけの小さな子供の顔が見えました。
「これは一大事だ!」
若者はやわらかく包まれた殻を破り、幼子をそっと抱きかかえ連れ帰りました。
山小屋に戻ると、急いで幼子の身体を洗い、水や食事を与えましたが、その子はただ横たわるままでした。
若者は夜通し見守り世話をしましたが、幼子は翌日も何も口にすることが出来ず、顔色は悪くなる一方でした。
そんな時、山風が裏山の葉を吹き込み、若者の家の中に桑の葉を落としました。
幼子は弱々しい手で枕元に落ちた葉を取り、しばらく見つめたかと思うと、やがて口に運びました。
すると、幼子の目に輝きが戻ってきました。
その様を目にした若者は、急いで山に登り、桑の葉を集め、少しずつ幼子に与えました。
するとどうでしょう。その日のうちに幼子はみるみる顔色が良くなり、身体を起こせる程までになりました。
それから幼子は瞬く間に成長し、髪は日ごとに伸び、やがて愛くるしい少女へと成長しました。
若者は、恵みの少ない山奥の炭焼き小屋に住まわせている事を不憫に感じ、幸福が手向けられるよう想いを込めて少女に“たむ”と名付けました。
すっかり傷も癒え、野山で駆け回れる程に成長した“たむ”でしたが、この子には普通の子にはないある事が起こっていました。
それは、少女の髪がほんの数日で足元に届くほど長く伸び、伸びてはまた何度も生え変わるという不思議な現象でした。
その髪は蜘蛛の糸のように細く、それはそれは心地よい肌ざわりでありました。
ある時、“たむ”はその髪を集めて束ね、編み、布生地をこしらえて若者に手渡しました。
出来上がった布は、明かりに照らされると、今まで見たこともないような美しい輝きを放ちました。
若者がその布をふもとの村で見せると、村人たちは目を丸くして驚きました。
「なんと美しい布じゃ!」
「こんなに光る布は見た事がない!」
話は村を越えて広まり、その布を手に入れたいと遠くから人々が訪れるようになりました。
また、少女が不思議な糸を作るとも語られ、「糸吐きの娘」として噂が広がっていきました。
若者は“たむ”がこしらえた布を、ふもとの村人や話を聞きつけてやってきた商人らに売り、裕福になっていきました。
少女は変わらず桑の葉しか食べることができませんでしたが、炭焼き小屋のそばに立派な家を建て、二人は仲睦まじく暮らしていました。
───つづく
(イラスト生成:Kinta@m/ストーリー:Kinta@m)
※イラスト・ストーリーはTCG“アクエリアンエイジ”の二次創作であり原作とは一切関係ありません。
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